第4弾「三重県桑名市・名物部長同行記」
文・写真:おおやま(アトリエ74)
平成18年7月13日(木) 天候:晴れ
「いいなぁ、いいなぁ」
JRで日向市駅に着いたとたん、イシカワ氏はそうつぶやきました。線路に並行して建っているのは鉄道の高架橋。桑名市でも(特にイシカワ氏が)目指していたモノで、諸般の事情から一昨年に断念したモノです。(本音だったのか、周りの笑いをとるポーズだったのかはわかりません。案外、本気でうらやましかったのかも?)
桑名市内はもちろんのこと、国土交通省や都市計画行政に係わる人の中では、桑名市のイシカワ氏(都市整備部長)は、そのちょいワル風の風貌と中心市街地整備に係わる実績で有名です。
その彼が日向市を訪れたのは、現在進められている桑名駅とその周辺の景観デザイン検討が、日向市駅周辺のデザイン検討作業チームとほぼ同じメンバーで進められていて、特に自由通路と駅舎の検討を、日向市と同じ内藤廣建築設計事務所のカワムラ氏が担当されていたからでした。カワムラ氏は桑名駅の顔となる自由通路の昇降口に「大屋根」をかける提案をしていて、そのイメージとして日向市駅の大屋根を見てほしいとおっしゃったのでした。(ちなみに、桑名市からはイシカワ部長だけでなく、彼の信頼する部下である都市再生推進室の室長等の計3名が訪れたのでした)
駅から市役所まで歩く道すがら、イシカワ氏が道を指さし(ちょっと笑いながら)、私に言いました。
「やらしいなあ、これはやらしくないか」
どうやら十街区のパティオ脇の街路について、石畳で一面舗装されていることについて言っているようです。つまり、やりすぎではないか、と。
これは、後で駅周辺の整備計画について説明を受けて納得するのですが(十街区のこの部分は駅前広場からパティオの連続する人々が集まる空間として計画されたところ)、現在の状況では、このあたりがまだ日向市の市街地になじんでいない印象があったのかもしれません。私自身も約9年ぶりの再訪で、すっかり変わってしまった駅前街区にとまどいを感じているところでした。今後、駅前広場や周辺の街区の整備が同じカラー(雰囲気という意味で)で進むことで、一体感が出てくることと信じます。
「やらしいなぁ」と石畳を指さすイシカワ氏
早く駅舎を見たいという気持ちを抑えつつ、まずは市役所にて、駅周辺の整備計画についてお聞きしました。
まず、市の建設部長に計画の概要について説明していただきました。イシカワ氏も鉄道の事業と土地区画整理事業、パティオ事業等の商業系事業のつながりについて、身を乗り出しながら、熱心に聴かれてました。個々の事業をどのように連携させているのかについて、かなり関心がお有りのようでした。
その後、それぞれの事業の具体的な内容や進め方については、県の担当の方(宮崎県日向土木事務所)、市の担当の方から説明していただきました。(ありがとうございました!)
説明してくださっているクロギ部長と身を乗り出して聴いているイシカワ氏
さて、ようやく駅舎の方の見学です。市で車2台を出して下さり、駅舎まで送って下さいました。(クロギ部長はお忙しいのに「たまたま時間が空いていたから」と、自ら運転して下さいました)
まずは高架橋から見ていきます。イシカワ氏はクロギ部長とともに駅舎の方に向かいながら見ていきます。
ところで、日向市駅周辺の高架橋の形はとても美しいです。特に装飾があるわけでもなく、アーチ型にデザインしているわけでもありませんが、通常よりも広いスパン(柱間の間隔)、梁の形状、駅部の下に広がった柱(これも構造上必要な形とのこと)、全国でいろいろなところの高架橋を見ていますが、ここまできれいな形の高架橋はめったにありません。
クロギ部長とイシカワ氏(中央)
日向市駅の高架橋
話しがそれてしまいましたが、イシカワ氏共々、待望のホーム上に出ました。
「おおお、いいねえ」
そう言ったイシカワ氏、私が天井などに見入っている間に、どこかへ消えてしまいました。5分くらい経って再び姿を表しました。どこに行っていたのかお聞きしたところ、「ホームの端から端まで歩いてきた。屋根の上も見てきた」とのこと。足場の階段を上って、この木造大屋根の上が見えるところまでのぞきに行ったみたいです。まさに大興奮といったところ。設計担当のカワムラ氏や現場で説明してくださった方をつかまえて、アレコレと質問していました。
皆、感動した駅舎大屋根
あの足場の上まで見に行ったイシカワ氏
イシカワ氏の関心は駅舎の建物だけではなく、ホームからの景観にもあったようでした。細島港へ向かう道路がまっすぐ延びているのを見て、「この先には何があるの」と聞きます。港ですと答えると「おおお、まっすぐ軸線ができていていいねえ」とおっしゃいました。
実は、駅から東西の地形について、日向市と桑名市は似た構造となっています。どちらも鉄道が南北に延び、駅から東側には港があり(桑名は海ではなく川ですが)、駅から西側には古墳のある丘陵地があります。駅からの景観も参考となるということです。(市街地の構造だけでなく、桑名市の特産品もハマグリや木材、鋳物等と、日向市と重なる部分が多いです)
駅東側、細島港に延びる道路
駅西側、古墳の緑が見える
最後に、駅舎の模型のところで桑名市とのつながりをもう一つ教えていただきました。駅舎の柱と外壁つなぐジョイントの金物について、その試作品が桑名市内の鋳物工場で作られたとのこと。たまたま、発注した会社の本社が桑名市にあったことからこうなったのですが、なんだか不思議なつながりを見た気持ちです。
駅舎模型の柱と外壁のジョイント部
桑名市内の工場で作られたジョイント試作品
高架下天井の見本
(高架下の天井部分には、耳川流域の杉材を活用して仕上げられる予定です)

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