2006年07月の記事

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2006年07月20日

日向駅舎見学レポート - ナカイ先生のイカリ

■文・オサキシン

「おい、オサキ、どうしてこうなっちゃうんだ?」

駅舎内部を見学していたときにはニコニコ顔だったナカイ先生は、猛烈にイカっておりました。

見学会写真01

前の晩から朝までのどしゃぶりで、祭の余韻も九割方流された日向十街区。シャツの腕を捲らないと耐えられないくらいの蒸し暑さに、見学会ご一行は眉間に皺寄せキョロキョロうろうろ。パティオに置かれた子供達の飾り付けだけがニッコリと楽しげ。私、恥ずかしながら、日向十街区をしっかり見たのはこれが初めてでして、ひとまず十街区のオレンジ色の旗に軽いジャブを貰い(旗って柔らかい印象で良いですね)、人一倍うろうろキョロキョロしていたところでした。というのも、他業務で商店街の建て替えについて担当していて、どうやったらうまくいくものか非常に悩んでいたのです。しかし、良いデザインはどれもこれも公共物。商店の建物は、、、う~ん、どうしたものかと眉間にもう一本皺を追加しながらナグモデザインのベンチに腰掛けると、隣に座ったナカイ先生から先述の一言。

見学会写真02

見ると眉間に皺が三本。ナカイ先生、心底ご立腹のご様子。曰く、どうしてこんなまち並みになってしまうのか、駅舎は素晴らしい出来なのにもったいない。また曰く、色を統一するとかそんな手法でまち並みをつくることに限界があるのではないか、ひとまずあそこの庇の色形状は正気の沙汰とは思えない、等々。やはり建築も手がけられる専門家だけあって、ご指摘も具体的で問題意識も深くお持ちでした。そこで私ももっと話が聞きたくなり、「先生、素材に問題があるのではないですか?」と種火を投入。いや違うと先生即発火。建築の専門家としてのあり方が問題で、その思想や、形をまとめ上げる力量・センス等がまったくもって足りていないとのこと。たしかに目に見える形を決めるのは建築家。まちの第一印象の善し悪しは、建物のデザインをまとめ上げる建築家の腕によるものが大きいですよね。ふと気づけば先生の炎も巨大化。今までのやり方の限界が見えてきているため、我々建築・都市・土木の専門家には新しいまち並み形成の手法を考えていく責任があるはずだ、とボウボウに燃えたご意見。う~ん、大変な難題ですが、おっしゃる通りです、精進します。最後に、「オサキ、いつまでも新素材なんかのせいにはしていてはろくな事にならないヨ」と飛び火を頂きました。アヂッ。

ナカイ先生の指摘された問題は、日向だけのものではありません。日本全国いたるところで見受けられる問題です。中には、問題が起こって当然と言えるような、そもそものまちづくり意識が低すぎるまちもあります。しかし、日向は全国的に見ても稀な、地元と行政の協働が精力的に行われてきている都市です。そのような地にあっても、「まち並み」というまちの第一印象は、それまでに闘わされてきた議論の量や質と必ずしも比例しないという事実。私も何度か会議に出席したことがあるので、地元の方と行政が熱い議論を闘わせている場面を目撃しています。しかし、なかなか目に見えるまち並みとして具現化してこない。やはり建築家の肩にのった責任は重いと言わざるを得ません。どうすりゃいいのでしょうか?

思うに、日向では専門家同士の協働体制をより強めていく必要があるのではないでしょうか。つまり、建築・都市・土木の専門家と地元の建築家が互いに情報を持ち寄り、まちの全体像を踏まえながら個々の建築デザインを進めていく体制です。まちをトータルな視点で見つめる前者と、トータルな視点と施主の要望をうまく取り入れながら具体的な形に落としていく後者。この二者の連携体制が機能すれば、表面的な統一感に甘んじることなく、より深みのあるまちを形成していくことができるのでは、と思います。

そろそろ夏本番。私にとっても日向にとっても熱い夏になりますように。

第3弾・「篠原教授・新日向市駅舎見学ツアー・レポート」

■文・写真/南 奈緒子&辻 喜彦
平成18年7月3日(土) 曇り

・「月刊ひゅうが」の現場レポート第3弾は、平成11年から日向市駅周辺のまちづくり計画についての議論の場である「日向地区都市デザイン会議」委員長を務められている、篠原 修教授(政策研究大学院大学)の現場視察の様子をレポートします。(仕事の合間にレポートを書いているため、どうしても1週間近く遅れてしまいます。ゴメンナサイ!)

・前日に同じ宮崎県西都市での「歴史を活かしたまちづくりシンポジウム」を開催し、同プロジェクト・メンバーで日向へ向かいました。

・まず最初に工事を担当している(株)九鉄の現場事務所にて、所長より工事進捗状況を伺いました。12月開業へ向けて、工事は順調に進んでいるとのこと。皆さん、早く現場を見たくて、説明も早々に切り上げ、駅舎工事現場へ向かいます。

見学会写真01 見学会写真02 見学会写真03 見学会写真04
高架下空間を通って駅ホームへ

・前回にもレポートしましたが、高架下は、とても広々した良い空間です。駅東西を結ぶ交流の場として、前例の無い21m×3スパンというこの高架下には、シノハラ教授も納得されていた模様でした。

見学会写真05 見学会写真06

「高架下空間」この天井には、耳側流域の杉材で仕上げられます。

・高架下を通っていくと、駅舎事務室(改札口)部分の基礎工事が進んでいます。そしてそこから、駅ホームへ上がる階段(現在はまだコンクリート剥き出しのままですが)から駅ホームを見上げた瞬間、階上に木製大屋根が現れ、トップライトからの明るい陽射しが降り注いできます。

・階段を登り終わり駅ホームへ辿りつくと「凄―い!!」皆さん声を上げます。
これまでに何十回となく、図面やパース、模型を見てきて、自分なりに十二分に理解しているつもりでしたが、こんな空間が創られているとは、創造以上でした。前回までは、ほんの数スパン分の梁が架かっている状態でしたが、ほんの3週間で杉材の大屋根が出来上がっていて、木の香りが漂っています。こんな駅、初めての体験です!

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新駅ホームにて

・新駅ホームに立つと、西側には「富高古墳」が駅前通りの正面に鎮座しています。そして、東側を見ると、何と正面に細島港が見えるのです。
計画段階でも、「駅ホームから細島港が見えると良いよね?」「でもこの高さでは、ちょっと無理だよ・・・」(実際、一昨年にクレーンを使って駅ホームの計画高さまで上がった時も、港は見えませんでした)。これも感動!!
曇り日でも見えるのですから、良く晴れた日には、細島港の海面がキラキラ光って見えることでしょう。「山の文化」と「海の文化」の接点となる日向市新駅舎が実現します。全国どこを探しても「古墳」と「港」の見える駅なんてありません。またひとつ日向の宝物を発見した気分です。

・順調に完成にむかっている日向市駅舎に皆さんは今日の曇り空とは違い晴れ晴れとした顔に見えました。

見学会写真12 見学会写真10 見学会写真11

・さて、今回の視察は、シノハラ教授と中井裕・東京大学助教授、そして地元出身の建築家・武田光史氏(日本工業大学教授)の三名がメインゲストです。
タケダさんは、以前から日向市駅周辺に新たに創られる街並みデザインについてアドバイスを戴いており、その優しいけれど熱~い人柄は、今や、日向プロジェクトに欠かせぬメンバーとなっています。またナカイ助教授は、初日向で体験した新駅舎には、いたくご満悦の様子でした(その後については、オサキくんのレポートをご覧ください)。

・そして肝心のシノハラ先生はというと、日向市のクロギ部長と2人して駅ホームに立ち、こんな会話がありました。

「いろいろとあったけれど、ようやくここまで来たなぁ~」
「ナイトウさんに設計を頼んで本当によかった!」
「日向市民は、この宝物を大事にしていかなきゃならんです」

側に居ても、ジ~ンとくる会話でした。

・完成に向かっている日向市駅舎、しかし、シノハラ教授は最後の細かいディテールのデザインを丁寧に確認し、駅舎設計担当の内藤事務所川村副所長と最終調整をしながら駅舎ホームをあとに。最後の最後まで妥協せずよいものをつくり、日向市皆さんに使って頂きたいと思う先生や担当者の意気込みがひしひしと伝わってきて、ますます日向市駅舎の完成が楽しみになりました。

見学会写真13 見学会写真14 見学会写真15 見学会写真16

・その後、これから工事がはじまる西口・東口駅前広場へ。ここでもシノハラ教授は日向市駅舎と駅前広場の関係をひとつひとつ確認しており、これかららまだまだ続く日向駅周辺のまちづくりを頭に描いておられるようでした。シンボルとなる駅舎、駅前広場、高架下空間に賑わう様子が早く見たくなる気持ちでいっぱいです。

・日向市のまちづくりがはじまって、かれこれ10年、完成を、、、という気持ちが高まっていますが「まだまだゆっくり進めれば良い。急ぐとろくなものにならないよ」というシノハラ先生の言葉に、長くそして深く育んでいくまちづくりの大切さを感じました。

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そして街なかへ

その後、駅舎視察を終えて、街なかへ出かけました。日向の街がどのように再生されようとしているのかは、このサイト上で、別途にきちんとご説明するコーナーを作りたいと思います。 とりあえず、まだご存じない方々のために駆け足でポイントをご紹介します。日向市駅周辺地区では、中心市街地再生のために、土地区画整理事業による街区再編と、地元TMOによる高度化事業が展開されており、街区ごとにテーマを取り決めて整備が進められています。

<駅前8街区・リーフギャラリー>
通りに面する外壁を1m後退(セットバック)させています(地区共通ルール)
<ひゅうが十街区>
平成14年度に最初に完成した商業街区です。公道を挟んでパティオ(中庭)が設けられ、イベント時の会場となっています。木(杉)の街路灯やボラード(車止め)が設置されています。
<13街区・モビール13>
「木のぬくもりと学生あふれるまち」をテーマにしています。
見学会写真21 見学会写真22

次回は、三重県桑名市の方々が日向を訪問する予定となっており、その模様をレポートいたします。他都市の人々が、日向の街にどのような反応を示すのか楽しみです!! 乞うご期待を。